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目に関するご説明

角膜移植について

この文章は、角膜移植手術をうける患者さんのご理解を深めるために書かれたものです。できるだけ多くの方のお役に立つように書いてありますが、病状は一人一人違いますので、くわしいことは主治医にお聞きくださるようお願いします。

角膜とは

角膜とは、眼球の最も前にある透明な膜で、ぞくに「黒目」と呼ばれる部分です。角膜の役割は大きく分けて3つあります。

  1. 光を通す。すなわち透明であること自体が角膜の大きな役割です。
  2. 光を屈折するレンズの役割をします。
  3. 眼球の壁の一部を構成します。

角膜移植とは、どのようなものですか?

角膜移植とは、上に述べた角膜の働きが損なわれ、かつ内科的治療でこれを治すことができないときに適応となります。具体的には

  1. 角膜が混濁したとき。
  2. 角膜が光を正しく屈折しないとき。
  3. 角膜が穿孔したとき。

に考慮されます。
角膜移植の原理は、悪くなった角膜を取り除き、新しい角膜を縫い付けることです。
人工の角膜は開発されていないので、すべて亡くなった方から提供していただいた角膜を使用しておこなわれます。

角膜の提供は、どのような方からなされるのですか?

角膜を提供する意思のある方がなくなった後に眼球を提出し、これを手術に適しているかチェックします。 残念ながら、わが国における角膜の提供件数は不十分なので、当院では海外のアイバンクの協力をあおいで角膜を入手することをおこなっています。

角膜移植の原因となる病気には、どのようなものがありますか?

わが国の角膜移植で頻度の高い原因疾患は、1.円錐角膜、2.角膜白斑、3.水疱性角膜症、4.角膜変性症、5.角膜化学傷、6.角膜化学傷、熱傷などです。

思春期に発症する角膜変性疾患で、角膜中央部が徐々に薄くなり、前に突出する疾患です。角膜の形がゆがむので、レンズとしての役割がそこなわれ、はっきりとした像を結ばなくなります。原因は不明ですが、一般的には遺伝性はないものがほとんどです。アトピー性皮膚炎など他の疾患を伴う例もあります。軽症―中等度では、ハードコンタクトレンズで矯正可能ですが、高度になってコンタクトレンズでも矯正視力が十分でないか、レンズを半日以下しかつけられないような場合には角膜移植が考慮されます。
角膜白斑
高齢者で角膜移植を受けられる原因として多いものです。若いころに角膜炎(「つきめ」とか、「めぼし」などといわれることもあります。)を患い、その後角膜に瘢痕が残ったものをいいます。ヘルペス角膜炎後の混濁もこれに含まれます。
水疱性角膜症
角膜の裏側には、「内皮細胞」と呼ばれる細胞があり、これが角膜の水分を調節しています。この内皮細胞が何らかの原因で減少し、角膜に水分がたまってむくんでしまった状態が「水泡性角膜症」です。白内障など眼の手術の後に発症するものもありますが、内皮細胞の「強さ」にも個人差があり、わずかなきっかけで発症することもあります。以前に角膜移植を受けた方の内皮細胞が減少して、再度角膜移植が必要になった状態(「再移植」とも呼ばれます)も、広い意味での「水泡性角膜症」に含まれます。
角膜変性症
生まれつきの素因で、角膜内に異常物質が沈着して混濁したものをいいます。種類によって、遺伝しやすいものとそうでないものがあります。角膜移植後に再発しやすいタイプもあります。
薬品やセメントなどが目にはいった場合に、強い瘢痕を生じることがあります。角膜だけでなく、結膜(白目にある膜)や涙なども障害されていることが多いので、特殊な手術を同時に行う必要がある場合もあります。
このほか、スティーブンスジョンソン症候群という、薬による副作用でも、目に濁りが生じ似たような状態となります。

術後の視力について

角膜移植をするとどのくらい見えるようになりますか?
  1. 角膜以外に悪いところはないか?
    角膜以外に、緑内障や網膜の病気があると、視力の回復は当然悪くなります。また、特別な病気がなくとも年齢が高くなると目の機能が落ちて回復に影響することがあります。

  2. 移植角膜の透明性
    手術後に角膜にむくみがでたり、しわができると視力に影響します。

  3. 乱視の程度
    乱視は角膜の歪みによって変わります。乱視を減らすには手術後に糸の調節などを行いますが、それでも歪みが残って視力に影響することがあります。
    手術後、3~6ヶ月の間が糸の調節を行える期間です。

乱視の調整についての論文
*島崎潤. 角膜移植後の視機能. 臨床眼科 1997;51:152-154.
*Shimazaki J, Shimmura S, Tsubota K. Intraoperative versus postoperative suture adjustment after penetrating keratoplasty. Cornea 1998; 17: 590-594.

手術後に視力がでるまでは、どのくらいかかりますか?

術後の視力回復の早さには大きな個人差があります。同時に行う手術が多いほど、また年齢が高いほど回復に時間がかかる傾向がありますが、それ以外に、移植角膜と患者さんとの適合性(相性)が大きく関係します。一般に角膜移植後に視力が充分にでるまでに、早い人でも1ヶ月、遅い人だと半年以上かかるので、すぐ良く見えるようになる人はむしろまれといえるでしょう。

手術後は、今まで使っていた眼鏡やコンタクトレンズは使えますか?

角膜移植後は、近視、遠視、乱視などの度数は大きく変わってしまうので、今までの眼鏡やコンタクトレンズは合わなくなってしまいます。手術数ヶ月後は、度数が安定しないので、度数をちゃんと合わせるのはその後になります。

両方の目とも移植が必要だといわれましたが、一回の手術でできますか?

一回の手術では片方の目のみを手術します。その後3-6ヶ月してから、もう片方の目を手術します。